大船渡病院救命救急センター
救命救急センター長あいさつ
2006年4月にここ大船渡病院で初期研修を開始して,早いもので15年が経過しました。2011年に起こった東日本大震災では,私自身も家族を亡くし,辛い経験もしました。その後,東北大学病院高度救命救急センターや石巻赤十字病院救命救急センターなどでの勤務を経て,大船渡病院へ戻ってまいりました。2020年11月からは,救命救急センター長に任命され,現職に就いております。
救急の現場では,さっきまで元気だった家族が,朝いつも通りに家を出て行った家族が,ありふれた日常の中で,突然何の前触れもなく亡くなるという事態が起こります。そんな目の前の患者さんの命を救いたい。その一心で救急医療を目指しました。
救命救急は医療の原点です。救命救急センターとしての役割を果たし,地域の人々に貢献できるよう,日々邁進してまいります。
令和3年4月 岩手県立大船渡病院救命救急センター長 横沢 友樹
理念
地域の人びとが安心、信頼できる救急医療の実践
運営方針
- 安全で質の高い救命救急医療を提供します。
- 地域の医療機関、施設、消防機関との連携を推進し、気仙地域の医療に貢献します。
- 災害を意識し、いつでも対応できる体制を整えます。
- 常に研鑽し、専門知識と技量の向上に努力します。
- 救命救急医療に貢献できる人間性豊かな医療人を育成します。
行動指針
可能な限りの最善の救命救急医療を提供する。
~Do your best, and Think about what else you can do~
救命救急センターの紹介
当センターは1998年8月に開設され,2市1町の気仙地域のあらゆる救急患者に24時間体制で対応してまいりました。2011年3月11日に起こった東日本大震災の際にも,地域唯一の災害拠点病院として,その使命を果たしました。従来は,本院の医師が当番制で当センターの診療を担当しておりましたが,2019年4月より救命救急科としての診療を開始し,提供可能な救命救急医療の質・量をともに整備・向上させ,救急医療の一層の充実を図ってまいりました。
外来には重症診療ベッド3床,診察室3室,点滴用ベッド6床を配置し,ECMOなど最新の医療機器も導入しています。また,血管造影室や内視鏡室といった緊急治療を行うための設備も用意され,一刻を争う事態には,外来での手術にも対応しており,全国でも充実した施設になっております。当センターが入口として初期診療を行い,この場所を起点として全診療科が協力し治療にあたります。また,近年は近隣市町村(釜石・気仙沼等)からの救急受け入れも多くなっています。
救急病棟には20床(ICU6床・HCU14床)のベッドがあり、専属の看護スタッフ35名(看護師32名、准看護師1名、看護補助者2名)が患者さんの対応や診療の補助,そしてご家族のケアを行います。また、当センターには救急看護認定看護師が1名配属されており、救急看護の基礎から高度な医療まで学習できる環境にあります。教育面では平成25年より救急ラダー(キャリア開発プラン)を作成し、段階ごとの教育の充実をめざし、質の高い看護の提供に努めております。その他、院内の緊急コール時には,当センターのスタッフが現場に駆けつけ,早期の救命救急処置を実践しています。
今後も当センターの機能を充実させながら,救急診療の教育研修病院として,また,安心,信頼できる医療の実践をめざして,地域の救急医療に貢献できるよう質の向上を図ってまいります。
病床数
20床(ICU 6床 HCU 14床)
施設紹介
- 救命救急センター受付
- 救急外来時間外診察室
- 重症患者処置室
- 救急CT室(80列マルチスライスCT)
- 救急血管撮影室
スタッフ
救命救急センター長 横沢 友樹
副院長兼医師事務支援室長兼災害医療科長 山田 裕彦
救命救急センター看護師長 熊澤 義子
救急認定看護師 桒久保 洋子
救命救急センターの診療案内
救命救急センターは、一次から三次までのあらゆる救急患者さんへの対応を24時間体制で行っております。患者さんの診察前に専門知識を有した看護師が症状をうかがい、緊急度・重症度を判断し、より早期にケアを要する患者さんを優先して診療するためにトリアージを実施しております。場合によっては診察の順番が前後することがありますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
受診される方へ
- 必ず診察券と保険証をご持参ください。
- 救命救急センターの会計は、毎日8:30から17:15まで、当日の支払いとなります。
17:15以降から翌朝8:30までは、医療費の一部入金として2,000円を受領し、後日の精算となりますので、ご了承願います。
診療時間
- 土日・祝日は、救急患者さんは救命救急センターで診察いたします。
- 平日の日中については、救命救急センターは救急車のみの対応となりますのでご注意ください。
連絡方法
夜間・休日に救命救急センターを受診される方は、電話にてお問い合わせください。
TEL 0192-26-1111(代表)
救命救急センターからのお知らせ
救命救急センターへ入院中の患者さんのご家族の皆様へ
救命救急センター集中治療室内では、ご家族の方の付添はできないことになっております。
スタッフ一同一日も早い回復を願い、清潔な環境を整えてお世話させていただいております。
面会時間は以下のとおりですが、ご心配な事や困ったことがございましたら、センター師長まで遠慮なくご相談ください。
面会時間 |
①12:30 ~ 13:30 ②16:00 ~ 16:30 ※詳細については、こちらよりご確認をお願いします。(令和6年6月6日~) |
なお、患者さんの安静、感染予防のため、面会は2親等以内の方となりますのでご了承ください。
救命救急センターにおける携帯電話の使用について
センター内での携帯電話の使用については医療機器に対する影響から禁止としておりましたが、次の場所での使用をお願いいたします。
【使用できる場所】
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診療実績
当センターは,救命救急科と災害医療科の2科から成り立っております。
1.診療内容
・救命救急科
平日(時間内)は,救急車で来院する患者の初療を行っております。
また,重症感染症や多発外傷,心肺停止後など人工呼吸器や血液浄化の必要な患者の集中治療に加えて,脳死ドナーの管理なども行っております。さらには,緊急手術や麻酔科応援が不在時の麻酔対応も24時間体制でしております。
なお,現在,院外からの救命救急科あての紹介は,受け付けておりません。
・災害医療科(災害拠点病院についてはこちら)
日本各地で起こった災害に対して,派遣要請があった際には,DMAT(災害医療チーム)の派遣を行っております。
また,大船渡市内で発生した大規模な事故現場等へ医師・看護師の派遣も行っております。
2.救急患者の受入れ状況及び手術・麻酔件数
【項目別救急患者数】
項目 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
---|---|---|---|---|---|
来院方法 | 救急車 | 2,503 | 2,428 | 2,843 | 2,989 |
救急車以外 | 10,072 | 7,002 | 7,893 | 9,952 | |
当日の転帰 | 入院 | 2,292 | 1,979 | 2,127 | 2,242 |
転医 | 16 | 23 | 17 | 13 | |
帰宅 | 10,187 | 7,338 | 8,481 | 10,580 | |
死亡 | 80 | 90 | 111 | 106 | |
患者数合計 | 12,575 | 9,430 | 10,736 | 12,941 |
令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
---|---|---|---|---|
手術件数 | 48 (42) | 22 (14) | 25 (17) | 20 (12) |
麻酔件数 | 219 (70) | 265 (56) | 369 (114) | 320 (96) |
( )は緊急手術 |
3.災害派遣実績
2016年台風10号による岩泉豪雨災害(DMAT派遣)
2018年胆振東部地震(DMAT派遣)
2019年大船渡市内事故現場派遣(医師1名・看護師1名)
2024年能登半島地震災害(DMAT派遣)
救命救急センターの新しい充実段階評価について
(厚生労働省ホームページ)
研修医教育
当センターは研修医教育の一端を担っており,毎年,多くの情熱あふれる若い医師がやってまいります。すでに当院で研修を行った医師は75名を超えるまでになりました。修了後は,岩手県内はもとより,全国各地で活躍しております。
・シミュレーターを用いた研修医教育の様子
(更新年月日:令和6年6月6日)